当院のリハビリテーション
医療の特徴

リハ技術部の活動

理学療法科の活動

装具グループ

脳卒中後などにより下肢に運動麻痺がある方に対して、立つ・歩くなどの日常生活動作を再獲得するために、当院では装具を使用した運動療法を行っています。重度の運動麻痺があり、ご自身で足を動かせない場合でも、早期に装具を使用した歩行練習を行います。
当院には週に2回、義肢装具士が来院しており、患者さん・主治医・理学療法士とともに装具の必要性や適性装具の検討を行います。さまざまな種類の装具を備品として用意して練習を行い、必要であれば、身体機能や生活環境を考慮した上で、一人ひとりに合わせた装具を作製します。作製後も入院中に微調整や装具が十分な効果を発揮できるようにアフターフォローを行っています。

義足グループ

下肢の切断患者を対象に、定期的に断端の評価・管理、義足作製に至るまでのサポート、義足検討会の開催、仮義足作製後は義足調整、退院後生活のアドバイスを行います。
義足検討会では入院初期に主治医・義肢装具士・医療ソーシャルワーカー・理学療法士が参加し、切断患者の情報共有と今後の方針について話合いを行います。チェックソケットや仮義足前にも検討会を行い、患者に合った義足の種類を検討します。また、退院後も自身で断端管理ができるようにチェック方法や弾性包帯の巻き方の指導を行います。

車いすグループ

車にはさまざまな機種と用途があり、屋内外の環境や身体機能面を考慮し、人それぞれに適したものを選んで調整する必要があります。当院の車褥瘡予防検討会では、車の選択、シーティング調整、住環境適応、適切な食事姿勢(作業活動)の検討、付属品の選択などをチームでサポートしています。またNST(栄養サポートチーム)や褥瘡回診チームと協力して、褥瘡発生リスクの高い患者の体圧測定を行い、褥瘡の予防と治療に努めています。

作業療法科の活動

mediVRカグラの活用

VRカグラは仮想現実(VR:virtual reality)技術を応用したリハビリテーション用医療機器です。効果としては、起立・立位・歩行動作や上肢機能の向上、認知機能障害の改善などが報告されており、対象となる患者さんに医師の指示の下、実施しています。
VRの内容は、背景がシンプルで認知負荷が低い「水平ゲーム」と「落下ゲーム」、注意障害を惹起するよう認知負荷性を高めた「水戸黄門ゲーム」「野菜ゲーム」「果物ゲーム」の5種類があり、患者さんの状態に応じて選択して実施しています。

電気刺激療法

筋肉、運動神経に対し電気刺激により筋収縮を起こすことで、筋力増強や筋萎縮の予防、痙縮抑制などを目的に行われる治療法です。当院では電気刺激装置と低周波治療器、汎用機能式筋肉電気刺激装置の3種類の機器を導入しており、患者さんの症状によって使い分けながら治療を実施しています。

注意点:患者さんの状況によっては使用できない場合があります。
使用にあたっては、医師の指示が必要です。

電気刺激装置

MUROソリューション

NESS

言語療法科の活動

嚥下機能評価

当院では、嚥下(飲み込み)が困難な方に対し、必要に応じて嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査を行っています.

【嚥下造影検査】
造影剤(バリウム)を含んだ食事をX線透視下で食べていただき、透視像をビデオに記録し、嚥下運動や適切な食形態を評価・診断する検査です。
【嚥下内視鏡検査】
内視鏡(鼻腔ファイバースコープ)をのどに挿入し、飲み込みの様子を観察する検査です。唾液や痰の貯留、食物残留の有無、誤嚥などを評価することができます。

リハビリテーション
医療機器

理学療法科の機器について

  • 歩行アシストロボット

患者さんの効率的な歩行をサポートするロボットです

  • トレッドミル/免荷歩行器

体重を免荷しながら歩くことができる歩行機器です

  • 自転車エルゴメーター
  • ベッドサイドエルゴメーター

患者さんの持久力を向上する機器です

  • 体組成計

患者さんの筋肉量を測定します

  • 重心動揺計

神経内科疾患、運動器疾患の評価や理学療法の効果判定として使用

  • 筋力測定器

運動器疾患の術前術後や理学療法の効果判定として使用

  • 運動耐容能評価
    (6分間歩行テスト)

呼吸器疾患や周術期の運動耐容能評価に使用

  • スパイロメーター

呼吸機能評価に使用

  • 活動量計

入院中の活動量を把握しフィードバックするために使用

作業療法科の機器について

  • ADLキッチン

高さ調整が可能なキッチン台でIHコンロを常備。

  • ADLシミュレーター

ご自宅を想定した床の高さ、手摺の位置に調整し入浴練習を実施。

  • コミュニケーション機器

マルチコール、ピエゾニューマティックセンサー、レッツチャットなどを使用し、患者さんの意思疎通を支援。

  • 自助食器具

箸ぞうくん、太柄スプーン、取っ手付き茶碗などを使用し、患者さんの食事動作を支援。

言語療法科の機器について

  • ジェントルスティム

電気刺激療法に用いる機器です。干渉波刺激により、喉の神経活動を高め、飲み込むための反応の改善を図ります。

  • バイタルスティム

電気刺激療法で用いる機器です。低周波刺激により筋収縮を起こすことで嚥下に関わる筋力増強を行います。

  • 舌圧測定器

舌の運動機能である最大舌圧を測定する機器です。訓練としても使用します。

車いすレンタル

車椅子の姿勢が最適でないと、その人の能力を最大限引き出すことができません。最適な姿勢をとることにより、車椅子に座っていられるようになったり、座っての食事が楽にできるようになったり、食べ物や飲み物の飲み込みがしやすくなります。大きすぎる、小さすぎるなどその方に合わない車椅子では、最適な姿勢をとることは困難です。
当院では上記の考え方のもと、入院中の患者さんに最適な姿勢で車椅子に座っていただきたいと考え、一人ひとりの患者さんに合った車椅子を提供できる体制を整えています。

退院後のフォローアップについて

退院は決まったけれど、これからの生活にはまだ不安が残っている……
現状の身体能力を維持するためには、どうしたらいいのだろう……
目標を達成するためにリハビリテーションを継続したい
そのような患者さんの声にお応えするため、尼崎だいもつ病院では退院後の患者さんに、途切れることなく以下のリハビリテーションを提供しています。

通院リハビリテーション(外来)

回復期リハビリテーション病棟を退院後の方を対象とし、退院後3ヵ月の間、通いでのリハビリテーションを行います。
退院後の生活状況について、困り事はないかを確認しながら、明確な目標を定め、各療法を行うことでさらなる能力の改善をめざします。
※期間:退院後3ヵ月間  ※医療保険対応となります

訪問リハビリテーション

実際の生活の場にお伺いして、日常生活の自立と社会参加の向上を図ります。
自宅内の環境調整や、移動動作、日常生活動作の安定性向上を図ることはもちろん、外出のための練習を短期集中的に実施します。
※期間:退院後3ヵ月間 ※介護保険対応となります

訪問看護・リハビリテーション

在宅生活において、体調を看護師が確認しながらリハビリテーションを提供する場合は、訪問看護ステーションより、看護師・理学療法士がご自宅に訪問させていただきます。かかりつけ医との連携を密にし、重度の障害がある方や神経難病にも対応することができます。
※医療保険・介護保険に対応しています
在宅サービスについてはこちら

通所リハビリテーション

1階フロアにあるデイケアでは、入浴、レクリエーションなどへの活動と参加、その他集団体操など、リハビリテーションの場を提供します。
半日コース・1日コース(送迎つき)があり、その方に応じた過ごし方・訓練メニューをご提案しています。 広々とした空間にリハビリテーション機器を多数設置しており、筋力増強運動や持久力運動など、さまざまな種類の運動を行うことができます。

※半日:9:00頃~13:00頃まで ・12:30頃~16:00頃まで
※1日:9:00頃~16:00頃まで
※介護保険対応となります
在宅サービスについてはこちら

心臓リハビリテーションの外来

心臓リハビリテーションとは、心臓病のある方々の体力や不安・抑うつ状態の改善、社会復帰の実現、病気の進行の抑制、再発・再入院を減らすことをめざして、運動療法・生活指導・カウンセリングなどを行うプログラムを指します。

(日本心臓リハビリテーション学会HPより引用)

かつて、心臓病患者には安静が必要とされ運動は避けられてきましたが、近年心臓病患者にとって過度の安静がかえって病状の悪化の原因となり、運動によって改善が見込めることが知られるようになり、運動療法の重要性が高まっております。心臓リハビリテーションは動脈硬化予防や再入院率低下などさまざまな有用性を持っています。
当院では心疾患の患者さんにおいて安全かつ効果的な運動を行っていくために、一人ひとりの患者さんに適した運動方法や運動強度について具体的に指導しております。

心臓リハビリテーションで望めること

  • 運動能力の増加、息切れの改善。
  • 動脈硬化の元になる冠危険因子(高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症、肥満)の改善
  • 狭心症や心不全の症状の軽快
  • 不安・うつ状態の改善
  • 血管内皮機能(血管が広がる能力)や自律神経の働きの改善
  • 長期的な心筋梗塞の再発や突然死のリスク、心不全による再入院の減少

心臓リハビリテーションを
行う時期

心臓リハビリテーションの
適応となる疾患

  • 急性心筋梗塞
  • 狭心症
    冠動脈ステント治療後も含みます。
  • 慢性心不全
    左室駆出率40%以下、または最高酸素摂取量が基準値の80%以下、脳性Na利尿ペプチド(BNP)が80pg/ml以上、脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が400pg/ml以上のいずれかの基準を満たすことが必要です。
  • 心臓手術後
    冠動脈バイパス術、弁膜症手術、心臓移植手術などが含まれます。
  • 経カテーテル大動脈弁置換術後
  • 大血管疾患(大動脈解離、大動脈瘤の術後)
  • 閉塞性動脈硬化症(末梢動脈閉塞性疾患)

当院の心臓
リハビリテーションの実際

日本循環器学会や米国、ヨーロッパの治療ガイドラインでは、心筋梗塞、狭心症、心臓術後、心不全などの患者は、急性期の治療が終わった後に回復期の心臓リハビリテーションに参加することが望ましいとされています。
そこで当院では急性期の治療が終わった後の回復期の心臓リハビリテーションを行うことを目的に入院中、退院後の外来通院での心臓リハビリテーションを行っています。

当院の心臓
リハビリテーションプログラム

1)運動療法
  • 心肺運動負荷試験(CPX)を行い、患者一人ひとりに適した運動の強さや時間を決め、医療スタッフが心電図で確認しながら安全性を考慮した運動トレーニングを行います。また自宅での運動療法のやり方について指導を行います。
  • 運動療法の効果が出ているかどうか、定期的に確認します。
             

心臓リハビリテーション室

CPX

2)個人面接
(カウンセリング)
  • 退院後の生活や社会復帰の注意点、運動療法のやり方、不安やうつ状態などについての相談およびアドバイスを個別に行います。医師および看護師が担当します。
  • 糖尿病、コレステロール、中性脂肪、心不全などの血液検査の結果を確認し食事療法や薬物治療についてアドバイスを行います。

参加希望者の方がおられましたら尼崎だいもつ病院 地域医療部 06-6482-0115までお問い合わせください。